「インターネット」について考える課題
— SFC, The Internet — 4 min read
私が SA (アシスタント) をしている SFC の学部授業「インターネット」で出した課題の一部を公開します.
なお,これらは決まった正答のある問ではなく,答えを出すことより考えることが重要だと思うので,単一の模範解答は用意していません.また,読んだ方に模範解答だと思われたくないので,ここではあえて私の答えを書きません.
前提 1: 学部 1-4 年生が受ける授業で,IT 技術やインターネットに深く触れたことのない受講者も多い授業です.
前提 2: 授業ではインターネットの基本的な概念 (Rough consensus and running code, End-to-End 原則,Global network) や OSI 参照モデル,技術 (L2, L3, DNS, Web, Security),インターネットガバナンスなどについて浅く広く触れています.
問 1: Public DNS について
Google や CloudFlare など,大規模ネットワークを管理する企業が所謂 Public DNS サービスを無料で提供している. これは,授業で説明した「フルサービスリゾルバ」を誰でも使えるようインターネットに広く公開しているものだ. 営利企業であるそのような事業者が無料で Public DNS サービスを提供するにあたって,事業者側のメリットやインセンティブを考察せよ.
課題のレビューでは,特に考えてほしい点として以下の項目を挙げました.
- 事業者 (営利企業) の立場
- そもそもなぜサービスを提供するのか
- なぜ無料で提供するのか
- インターネット・DNS の非中央集権性
- なぜ DNS は非中央集権・分散管理なのか
- なぜ元来フルサービスリゾルバは組織ごとなどに設置し運用しているのか
- なぜ事業者はそれを一元化したいのか
問 2: 「世紀の大事件じゃないですか」
- 「インターネットが壊れる」の意味を自分なりに定義せよ.
- 1 の定義をもとに,「インターネットが壊れる」理由を考察せよ.
- 2 を起こさないためには誰がどうすべきか考察せよ.
課題のレビューでは,特に考えてほしい点として以下の項目を挙げる予定です (本記事公開時点ではレビュー回未実施).
- インターネットとはなにか?
- rough consensus とはなにか
- "global" と "international" の違いはなにか
- なぜインターネットには End-to-End 原則があるのか
- なぜインターネットは "The Internet" なのか
- AS どうしはどのように繋がっているのか
- それを踏まえて,今まで自分が「インターネット」と呼んでいたものは何で,授業を通してどのような「インタ ーネット」の理解を得たか
- マルチステークホルダの概念
- インターネットが動き続けるためにはどのような立場の人がどのような役割を担っているか
- その中で自分はどのような立場なのか
以上.なお,授業に対する質問等は私個人では受け付けておりません.